2009年1月6日火曜日

IRB

アメリカの大学や研究機関で人間を対象とした研究する際には、必ずInstitutional Review Boardの審査を経て承認されなければなりません。教育に関する研究も、人間の学びの様子や成長(変化)をその研究の対象とするので、IRBの承認を得ない限り研究に取り組むことはできません。
日本でも、最近、教室で子供たちが学習する様子をビデオに撮ったりする場合には、保護者の承認を得なければならなかったりするようになってきたと聞きますが、アメリカでは、例え、子供たちの発言をメモにとったり、ノートのコピーやテストの解答などを分析してその成果を発表するような研究の場合にも、きちんとIRBに研究の内容を申請し、審査を受け、許可を得なければなりません。
これは、研究という名の下で基本的な人権が損なわれることの無いようにという配慮からなされているものですが、研究を行おうとする場合には、煩雑で時間のかかる過程を経ないと研究が始められないので、なかなかやっかいなものです。
新年、第一日目の仕事(仕事始めでしょうか)は、2年前に申請したIRBの期間延長の書類を書くことでした。研究の概要、ビデオを撮る場合に親に承諾を得るための手紙、そして、研究対象となる先生方一人一人にサインをもらうための手紙等々、一つ一つ全部をそろえ、提出しなければなりません。その上、ビデオを撮る院生、そのビデオを編集したり、トランスクライブしたりするスタッフも、人権問題に関するオンラインのトレーニングをしてもらい、その修了証を添付しないと、IRBの審査さえしてもらえません。
普通の教室での授業をビデオに撮る場合には、これに加えて教育委員会の許可も取らなければならず、手続きはまたまた煩雑です。
地域によっては、警察にこれまでに犯罪を犯した経歴がないという証明をもらわないと学校に出入りさせてもらわないところもあると聞きます。日本も、アメリカ並みに物騒になってきたようですので、そのうち、何もかもがアメリカ並みになるかもしれません。

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