2008年12月31日水曜日

授業を観る目

日本の先生方の間でよく聞かれる言葉である。
「授業を観る目が育っていない」「授業を観る目を鍛える」といったように、「授業を観る目」は、しばしば教師がプロフェッショナルであるために欠かせない資質や能力として語られる。日本の教師にとっては当たり前のことであり、だれもが「授業を観る目」に対して共通のイメージをもっていると考えるのが自然だ。
しかしながら、日本以外では、「授業を観る目」といっても何を指すかがはっきりしない。はじめて授業研究に取り組む国々で課題となっているのは、研究授業でいったい何を観ればよいのか分からないということである。
では、どうすればよいか?
日本の先生方ならば、さしずめ「まずは、授業を観る目を鍛えることだ」とでもアドバイスするだろう。
しかしながら、「授業を観る目」を持たないもの同士が、いくら互いに鍛えようとしれもらちがあかない。
いったい「授業を観る目」とは、何を指すのだろうか。「何を観たらいいのか」それは「何のためなのか」そして、それを観ることが「本当に授業の質を吟味することにつながるのか」さらにこの授業を観るという活動が「子どもの学習の高まりに、どのように寄与するのか」といった疑問にどこまで具体的にこたえることができるのだろうか。
初めて研究授業を経験する海外の先生方と接することによって抱いたこれれの疑問、2009年の前半は、これらの問いを解決することを目指し、いくつかのプロジェクトに取り組んでいこうと考えている。
まず最初は、APEC Knowledgebankに、各国の数学教育をリードする仲間と共に、授業ビデオ活用ガイドを作ることである。現在Knowledgebank wikiにあるビデオを具体例としながら、良い授業とは、そして、それを見極める視点に関するガイドを作り、公開すること、そして、そのフィードバックを得ながらWikiテクノロジーを活用して「授業を観る目」を明らかにしていくことである。
1月2日のカンファレンスコールで詳細を詰め、昨年、夏から暖めてきたアイディアをもとにプロジェクトをスタートさせる。

2008年12月29日月曜日

英語教育の重視

先日発表された高等学校の学習指導要領案に、英語は英語で教えるという新しい方針が打ち出されたとありました。
小学校でも、週一回の英語活動が始まるということだそうです。communicationの手段としての英語が重視されることそのものは理解でします。でも、現場の先生方にとっては、頭の痛い問題ではないでしょうか。英語で自分の意見を主張したり、人の考えを理解したりということは、日常会話とはレベルの異なる会話を必要とするからです。
高等学校の英語を英語で教えることはともかくとしても、小学校で果たして週一回の英語活動を取り入れる必要があるかどうか、私には疑問です。このことについては、今後も折に触れて議論していきたい事柄の一つです。
たかが英語、されど英語、
国際会議で、何を言っているのかよく分からない日本人の英語を聞いていると、英語そのものよりも、きちんと筋のとおった主張がなされていないことが多いようにも思えます。まずは、相手に伝わるような筋道だった話しが出来るようになることの方が大事だとも思います。
英語、確かに大切ではありますが、小学校からとってつけたように時間割に入れるのはどうかと思っています。

2008年12月28日日曜日

KnowledgeBank

APECの人材開発ワーキンググループの活動の一環として、アメリカの連邦教育局がリードし、インターネット上の資料、KnowledgeBankを構築しています。
このサイトでは、ウィキペディアでおなじみのWikiテクノロジーを使ってAPECの各プロジェクトの成果を蓄積することをねらっています。
私個人は、2007年の8月からこの活動にかかわるようになりましたが、現在は、AP•MSECがこの仕事を引き継いで、アメリカ連邦教育省とのコラボレーション事業として行っています。
今、現在行っているのが、今年の夏に発表された学習指導要領解説書「算数編」の英訳です。1月上旬の完成を目指して、現在、スタッフと共に、ケネソー州立大学の渡辺忠信氏、ウィリアム・パターソン大学の吉田誠氏と共に、最後の仕上げにかかっています。この訳が完成した暁には、KnowledgeBankのページから無料でダウンロードできるようになります。さらに、APECの人材開発ワーキンググループでは、この資料を基に、日本の算数教育の実際について、授業研究などからのビデオも加えながら、その実際をAPECのメンバー各国の教育レベル向上のための資料とする予定でいます。

2008年12月26日金曜日

街のクリスマス

クリスマスイブからクリスマスにかけて、シカゴの市内は例年ひっそりと静まりかえります。
クリスマスを家族で過ごす人が多いので、いつも雑踏で賑わう市内の通りもタクシーが頻繁に行き来する繁華街の通りも、人影はまばらになり、落ち着いたたたずまいになります。ちょうど、東京の元日のような雰囲気でしょうか。
クリスマスが終わると、街にはふたたび雑踏が舞い戻ってきます。

アメリカ風忘年会


12月23日 AP•MSECのスタッフと家族と、Yoshi's Caféでホリデー・ディナーをしました。
あいにくの大雪で、全員は参加できませんでしたが、Yoshiさんの特別メニューで、大満足でした。
9月からの4ヶ月、本当に慌ただしく過ぎました。みなさんご苦労様でした。

2008年12月23日火曜日

御用納め?


ディポール大学は、今日で年内の仕事が終わり。1月2日まで、全ての建物には鍵がかけられ暖房の温度も下げられる。特別な用事がない限り、建物には入れない。
AP•MSECでは、年内最後のミィーティングが行われた。12月の仕事の進み具合を確認し、休みの間に出来ることを打ち合わせた。そして、年内最後の仕事として、来年5月に行われる、恒例の授業研究カンファレンスの発表者募集の案内を各種メーリングリストに流した。来年で第8回目を迎えるこのカンファレンスは、アメリカでも最も古くから続いているもので、ここ数年は、海外からの参加者も目につくようになった。もちろん、日本からは、日本の数学教育をリードする諸先生方が参加されている。
慌ただしいオフィスの中とは裏腹に、外は写真のような青空、ひっそりとしたキャンパスに雪が積もっている。今日の気温もシングル・ディジット氷点下10度以下だ。

2008年12月21日日曜日

気温、氷点下21℃

昨日の土曜日は、朝から曇りで午後から深夜まで吹雪でした。たいした積雪はありませんでしたが、今朝(日曜日)起きてみると、気温は-21℃、アメリカで一般的に使われている華氏で、-6°、このような寒さを、ビロウ0、と言っています。天気は快晴、窓から見るとカラットした青空で、積もった雪がきらきらと輝いてきれいですが。外にでると、肌がピリピリとしてきます。
今日の最高気温は、-14℃、華氏でいってもシングル・ディジットと寒い一日です。

2008年12月20日土曜日

冬休み


11月の終わりから、ほとんど毎日氷点下の日が続き、今年のシカゴは例年よりも冬が早く訪れた感じがします。写真は、シカゴのダウンタウン、ジョンハンコック・センターの前に飾られたクリスマス・ツリー、寒さが厳しければ厳しいほど空気がキリッとひきしまり、イルミネーションがきれいです。
ディポール大学の秋学期は、11月下旬のサンクスギビングの前に終わるので、12月はまるまる冬休みとなります。町はクリスマスで賑わっているものの、大学のキャンパスは、市の中心部にあるにもかかわらずひっそりとしています。でも、AP•MSECのスタッフにとっては、いまが稼ぎ時、秋学期の間にたまった仕事を、ひっそりとしたキャンパスで、もくもくとかたづけています。

2008年12月19日金曜日

アメリカの教育現場の様子は?

日本と比べてアメリカの教育現場はどのようになっているのかという質問をうけます。
このような質問を受けて、この秋、日本の教育雑誌に書いた原稿がインターネット上に掲載されています。下のリンクでPDFをダウンロードできます。

このところ、メールなどで、この記事の内容について、いろいろなご意見、ご感想を伺います。
みなさんが考えておられるアメリカとは、少し違った様子が書かれているかと思います。

2008年12月18日木曜日

AP•MSEC

1998年8月にアメリカに来て、10年がたちました。
大学内に数学・科学教育の新しいセンターを立ち上げた今年、いままで慌ただしく見過ごしてきた日々の様子を、そして日本とアメリカの間に立って考える教育のことを、日本のみなさんにお伝えできればと考え、ブログを始めることにしました。
90年代、大学でインターネットを活用した数学教育について研究していた頃、インターネット・マスという日本語のサイトで、アメリカで普及しつつあったインターネット上の算数教材についてご紹介していました。今回のブログは、前回のインターネット・マスよりももう少し視野を広げ、いろいろな事柄をきままに書き留めていきたいと思っています。