2009年1月31日土曜日

中間レポートの提出

アメリカの大学では、研究や教員研修事業を行うために、政府機関や財団等から補助金を集めることが重要視されています。
AP*MSECも、現在は、その運営資金の大半を大学の予算から支出していますが、一部を、民間の財団からの補助金で運営しています。
この補助金は、一年単位のものですが、中間で一度、報告書を提出することが義務づけられています。企画書のとおりに事業が進んでいるか、どの程度予算を使っているか、詳細に報告をすることが求められています。
企画書をもらって予算が付いても、その後、中間報告書、最終報告書、されには成果を論文にまとめることなど、様々なことが要求されます。”ただほど高いものはない”ということを身にしみます。
こちらの大学では、基本的に、個々の教授に対して大学から均等に研究費などが支給されることは無いようです。みな、各自が、外部からお金を集めてこなければ実績にのこるような研究は出来ません。そのため、機会を捉えては企画書を書くチャンスをねらっています。
AP*MSECでも、今年度になってから、既に4つの企画書を書き提出しましたが、そのうちいくつが通るかはわかりません。
日本でも、最近、大学が外部からの補助金を得て研究を進めることが奨励されているようですが、あまりアメリカのようになるのも考えものだと思っています。

2009年1月30日金曜日

連邦教育省長官への提言

オバマ政権が新しく誕生し、教育界でも、新しい連邦教育省長官ダンカン氏への期待が高まっています。
特に、シカゴでは、ダンカン氏がこれまでのシカゴ公立学校の教育長だったことから、シカゴとワシントンの距離が近くなるのではないかといった期待がふくらんでいます。
AP*MSECでも、新しい政権のダンカン氏に対して、今後の教育、特に数学科学教育に対する提言をまとめ、提出しようということになりました。ついては、明後日の土曜日、数学学部と共同で懇談会を開き、数学教育の向上のために、全国統一の指導基準、またはそれに準ずるようなガイドラインを作ることについてざっくばらんな意見交換を計画しています。
現在、30名近くの人が、参加を希望しています。シカゴ近辺の数学者から現場の先生に至るまで、幅広い意見を集約し、提言をまとめようと、今日、トムとともに原案をねりました。

2009年1月29日木曜日

カタールでのワークショップ

カタールの首都、ドーハで、5日間の授業研究ワークショップを行うことが正式に決まったようです。
数年前に話しがあったときには、土壇場で予算が付かないという理由でキャンセルになりました、でも、今回は、教育省のホームページにも報道発表が載っていましたし、ビザも届き、また航空券も発券されたようなので、正式に決定となったようです。
昨年、一昨年、シカゴでおこなった授業研究、夏期講座の内容を多少アレンジしたもので、今回も、ケネソー大学の渡辺さんに一緒に行っていただくことになりました。
カタールは、人口、80万人強、岐阜県程度の大きさの国だそうです。昨今の原油高で潤っているようですが、石油よりも天然ガスの埋蔵量が世界のトップクラスだそうです。
初めての中東で、教育事情の違い、民族宗教の違いなど、課題は多いと思いますが、なんとか授業研究の良さをお伝えできるように、準備を進めたいと思っています。

カタール教育省の報道発表

2009年1月27日火曜日

学習指導要領 解説書 (小学校算数編)

先日お知らせしました,学習指導要領解説書、算数編の英語訳が、以下のアジア太平洋経済協力機構 (APEC) Knowledge Bank ページから、無料でダウンロードできるようになりました。
http://www.apecknowledgebank.org/file.aspx?id=1868
186 ページに及ぶこの英語訳は、アメリカ連邦教育局のプロジェクトとして、AP•MSECが、APECの人材開発ワーキンググループへの協力として行なったもので、広く、世界の教育関係者に、日本の算数学習指導要領の内容をご理解いただくことを目的としています。
どうぞ、ご活用ください。

学部長選考委員会

日本の大学では、一般に学部長などは、学内から推薦または立候補し、それを教授会が投票して決めるのでしょうか。
アメリカの大学では、公正を期するため、学内から選考委員を選び、その選考委員が中心になって、全国的に公募し、公募者のなかから候補を選び決定することが多いようです。おもしろいことに、この選考委員には、学生の代表も加わります。
DePaul大学では、いま、教育学部の学部長を公募し、選考の準備に入っています。アメリカには、このような公募の作業をサポートする専門のリクルート会社があり、大学は、このような民間企業と契約し、そこのコンサルタントのサポートで作業を進めていきます。
何でも、商売になるのがアメリカ、といったところでしょうか。
日本も、情報公開、機会均等など、盛んに叫ばれているようですが、次第にこのようなシステムに移行していくのでしょうか?

2009年1月24日土曜日

学習指導要領解説書 算数編の英訳 完成

昨年夏から取りかかっていた解説書の英訳が完成しました。
最後は、トムが頑張って仕上げをし、端から端まで丹念に眼を通して完成させました。
全体で200 ページにも及ぶ解説書の英訳は結構骨の折れる仕事で、翻訳にお骨折り頂いた竹沢さんご夫婦、丹念に校正をしてくださった渡辺さん、吉田さんに感謝申し上げます。
解説書の英訳は、アメリカ連邦教育局が運営する、APEC Knowledge Bankのホームページから、世界各国の教育関係者のための参考資料として無料でダウンロードできるようになります。
URLがわかり次第、このページでお知らせいたします。どうぞおたのしみに。

2009年1月23日金曜日

ブレーナードからシカゴへ


朝、7時にモーテルを出ると、辺りは一面、濃い霧につつまれていました。
昨日、摂氏0℃近くまであがった気温が、夜になって一気に冷えたためでしょうか。木の枝も全て霧氷で真っ白でした。
シカゴよりも、西にあり、しかも緯度が高いため、日の出はシカゴよりもずいぶん遅くなります。シカゴではこの時期、7時には日が昇っていますが、こちらでは、日が昇るのがようやく8時になってからでした、
気温は、氷点下12℃、青空と春めいた暖かささえ感じた昨日とはうって変わり、真冬の厳しい寒さに戻りました。この週末には、日中の最高気温が、また氷点下20℃近くまでさがるとのことでした。
帰り道、ようやく昇った日を浴びて、道路脇の牧草地が朝靄に包まれました。

2009年1月22日木曜日

ステイプルズでのワークショップ


ミネソタ州教育委員会のサポートする地域の先生のためのワークショップは、ステイプルズ町(人口約3000人)のバンケットホールで行われました。バンケットホールといっても、日本でいう公民館のようなところで、普段は宴会や結婚式などに使われているようないわゆる地方会館です。
正面の入り口を入ると、真っ先に目に入る大きな熊の剥製と、その両脇の壁にずらっとかけられた大きな角の鹿の頭、なんともミネソタらしい会場でした。
今日は、朝、8時30から休みをはさみながら午後2時30分まで、「問題解決を通した数学指導」という題で話を任されていました。
途中、ハンズ・オンの活動を交えながら、教師主導型から生徒が自分で問題に取り組み解決する過程を通して数学の内容を学習する授業について話をしました。
昨日、研究授業をみせてくださった先生方もまじえて、和やかにざっくばらんな数学教育談義が出来ました。
先生方の反応を見たピートが、ワークショップ終了後、「このようなワークショップを土台にした1週間の授業研究夏期講座をやってくれないだろうか」ともちかけてきました。
冗談半分に、「一週間、リゾートホテルに泊まりながら、毎日夕方から釣りやトレッキングが出来るのならおもしろいかもしれないね」と答えました。
はたしてどうなることでしょうか。

アイス・フィッシィング

1月20日
午後の研究授業と協議会を終えた後、ピートとともに、ゴール・レイクに向かいました。
湖多いこのあたりでも有数の釣り場で、この週末には、年に一度のアイス・フィッシィング大会が開かれる湖です。
アイス・フィッシィングというのは、簡単に言えば、日本のワカサギ釣りのように、冬、氷結した湖の氷に穴を開け、釣り針をたらして魚を釣ることです。
おもしろいのは、ただ氷の上に出て穴を開け釣りをするだけでは飽きたらず、氷がはると、その上に釣りのための小屋を建て、その中でストーブで暖をとりながら釣りをするという徹底した人が多いことです。
ピートは、普段自分は氷の上に何時間もすわって釣りをするそうですが、私に寒い思いをさせまいと、友達に小屋を借りて、私を連れて行ってくれました。
岸から、さまざまな道具をそりに乗せて運び、小屋に着きましたが、氷の上に厚く積もった雪のためか、どうも氷の上にいるという気分にはなれませんでした。それでも、小屋の床にあいている穴から大型のドリルを差し込んで氷に穴を開けると、正真証明、湖の水が見えてきました。
夕日に空が赤く染まったあと、あたりが真っ暗になると、空に沢山の星がみえはじめました。空気の澄んだ、しかも周りに明かりのない湖の上だからでしょうか。ミネソタの北部であるこのあたりでは、時折、オーロラも見えるそうです。
残念ながら、ねらっていたミネソタの魚の王者、ウォーライは釣れませんでした。でも、帰りにピートが連れて行ってくれたローカルのバーで(もちろん白人ばかり)、切り身になったウォーライと会うことが出来ました。

イーグルバレー中学校 6年生の授業

1月20日


午後からは、モートレーからさらに30分ほどドライブしたクロレッサの町の中学校に行きました。町の人口は350人、人口が少ないので、この町の高等学校では、たった一人の先生が、高等学校のすべての数学を教えているそうです。
そんなわけで、授業をする先生方のグループは、この教育委員会の小・中・高等学校の数学の先生が集まっているチームで、日本でよく見かける学年別の指導案作成グループとはずいぶんちがったものでした。
今年、初めて授業研究にとりくみはじめたグループの第一回目の授業ということもあり、研究授業を参観するにあたってのエチケットから、協議会のすすめかたなどなど、要所要所で説明を加えながら、午後の研究授業を行いました。
グループ活動を取り入れたり、子供たちに自分たちで答えを考えさせたりと、いろいろと工夫をしているものの、結局は教師が教え込む形の授業になってしまいました。それでも、協議会では、熱心な話し合いがなされ、次回への課題が共通理解されたようです。

モートレー中学校8年生の授業


1月20日
朝、7時にモーテルを出て、モートレーにむかいました。約30分のドライブで着いた町は、人口600人弱、町の中心を通り抜ける道には、信号機のある交差点が2つだけ、リゾートとはずいぶん違う町の印象です。
「デイリークィーンというファーストフードのチェーン店の手前を曲がれば、中学校はすぐにわかる」というピートの説明を聞いたので、少し早めについて、コーヒーとマフィンでも食べようかと思っていましたが、デイリークィーンは何年も前に廃業したようで、看板はあっても店は営業していませんでした。
町の端から端まで、大通りを通り抜け、一カ所だけやっているダイナーを見つけ、簡単に朝食を済ませることにしました。
店に入って思ったことは、お客はもちろん、ウェートレスも、バスボーイも、すべて白人だということでした。
ミネソタの田舎では、まず有色人種は見かけません。これは中西部の田舎に共通することかもしれません。シカゴのような大都市やその近郊では考えられないことです。
このことは、中学校の授業を参観しても言えることでした。生徒はもちろん、先生方をはじめ、用務員、事務所の人々まですべてが白人でした。
アメリカは、人種のるつぼといわれますが、実は、大部分を占める農村地帯では、けっして人種のるつぼといえるところばかりではありません。このような小さな町にいる、保守的な白人が、実は選挙などで意外に大きな影響力を持っているようです。

中学校では、8年生の教室で、今年はじめて授業研究に取り組んだ、先生方の第二回目の研究授業を参観しました。
皆さん熱心ですが、授業はご多分に漏れず典型的な教師主導型の授業でした。

2009年1月20日火曜日

教員研修会


モンテビデオの教育委員会主催の教員研修会は、ドーソンという町の小中高等学校の合同校舎で行われました。ドーソンは、モンテビデオから車で約15分ほどのところにある小さな町です。
今朝、7時、まだ暗いうちにモンテビデオからドーソンまでのドライブは、その倍以上の時間がかかりました。というのは、昼の内に、地吹雪で道路に運ばれた雪が夜のうちに凍って、道路のあちこちが完全に氷に覆われていたためです。本来、融雪剤(塩)をまいて凍結を防止するのですが、最近の予算削減で、融雪剤のかわりに砂をまくので、このようなことがおこってしまうのだそうです。

今日の研修会は、この地域にある小さな教育委員会が、合同で行うもので、ドーソンの学校には、約350名ほどの先生方があつまりました。
私の担当したのは、小中高等学校で数学を教える先生方やく35名に、分数の指導についての話をしました。朝、8時45分から、午後2時30分まで、30分の昼休みをのぞいて、ずっと話をするのはなかなか疲れます。しかし、分数指導は、アメリカでも算数・数学の躓きの大きな原因といわれているせいもあり、みなさん熱心に話を聞いてくれました。日本の教科書が、分数指導の場面に、ふんだんに量と測定領域の内容を扱っていることは、アメリカの先生にとっては驚きで、いつも先生方は興味をしめしてくれます。

ワークショップを終え、3時半にモンテビデオを発ち、明日、研究授業を参観するブレーナードに向かいました。
モンテビデオからは、約3時間のドライブです。ブレーナードは、ミネソタ州でも有数のリゾート地で、まさに森と湖に囲まれた風光明媚なところにあります。
夕方、6時30分、モーテルにチェックインするとすぐに、研究授業プロジェクトの代表である、ピート・ジグラー氏が迎えに来てくれて、湖に面した、彼の自宅に連れて行ってくれました。
ワインを飲みながら、簡単に明日の打ち合わせをすましたところで、彼の自慢のステーキが焼き上がりました。
一年ぶりの再会に話が盛り上がりました。明日の授業が楽しみです。

2009年1月19日月曜日

モンテビデオ

日曜日、午後一番のフライトでシカゴ、オヘア国際空港からミネアポリスへ飛びました。
先日も書きましたが、この1時間あまりの航空運賃の高いこと!でも、9時間自分で運転することを考えれば仕方がないか・・・

ミネソタ州は、カナダからジェット気流が強烈な寒気を運んでくるため、アメリカでも寒いことで知られています。モンテビデオは、ミネアポリスから真西に約2時間半ドライブしたところにあり、サウス・ダコタ州との州境に近い人口3000少々の町です。ミネソタ州の西のはずれ、先週は、華氏で氷点下30度、摂氏に直すと氷点下35℃まで下がったと言うくらいの寒いところです。
今日は、幸い、気温は氷点下5℃くらいまで上がり、小雪がちらつくものの、スノーモービルで遊ぶには絶好の日曜日だったようで、先週の間に積もった新雪の上を、スノーモービルに乗った人たちのグループが気持ちよさそうに駆け抜けていました。


冬のミネソタで怖いのは、ホワイトアウト、といわれる地吹雪です。いくら天気がはれていても、遮るものが何もない地平線まで続く平原に積もった雪は、カナダからの強い季節風に吹かれ、畑から畑へと移動していきます。からっと晴れた日でも、道路を横切る地吹雪で一瞬何も見えなくなることもありますし、また、地形によって、除雪した道路の一部に雪が運ばれてきたり、スポットアイスとよばれる凍結した路面を作っています。

小雪まじりの曇り空でしたが、地吹雪もたいしたことはなく、夕方6時、無事にモンテビデオに到着しました。
迎えてくれた、教育委員会のスタッフとワインを飲みながら夕食をし、明日の打ち合わせをしました。
明日は、朝7時に、教育委員会のオフィスに集合し、一日のワークショップをします。

2009年1月17日土曜日

分数


日本では、現行の学習指導要領のもとで、多くの教科書が分数を量の測定を題材として導入しています。
一方、4月から前倒しされる新学習指導要領では、分数は、2年生で分割分数として導入するようになります。
分数をどのように指導したらいいか、ということがこれからますます話題になると思います。

アメリカでも、分数の指導は子どもに理解しにくい内容としていつも話題になります。実は、3月上旬に、カリフォルニア州、オークランドにある小学校に招かれて、一週間の実験授業をします。テーマは、分数をどのように指導するか、です。
一週間連続で研究授業をし、その様子を毎日先生方と分析するという試みは今回で2度目ですが、前回の題材は分数ではありませんでした。
そんなわけで、いま、時間を見ては分数指導のアイディアを練っているところです。基本的には、英訳した日本の算数教科書を使おうと思っていますが、問題はどうそれをアレンジして、オークランドの子どもにとって身近なものにするか、ということです。

そんな折、以前から気になっていた近所にある道路案内の写真をとってきました。日本ではあまり見られないものだとおもいます。
単位は、マイルです。
こんな写真を教材にできないか。いま考えています。

2009年1月16日金曜日

Education Dinner

今晩は、トムの家でEducation Dinnerがあります。

2月に一度のこの会は、シカゴ市内で教育に携わるメンバー(約10人)が、ワインを片手に、教育のこと、社会のことなどをざっくばらんに話す会です。メンバーには、私のように、大学で教育に関する授業を教える者ばかりでなく、シカゴ市教育委員会の数学科学教育の責任者といった行政の担当者、また、教育をサポートする財団関係者などなどいろいろな人が集まります。
今回は、特に、シカゴ市教育委員会の教育長が、オバマ大統領とともにワシントンDCに行き、連邦教育庁の長官となったので、シカゴとワシントンの距離が短くなるだろうという期待で盛り上がることでしょう。
政治家には、どんな不景気なときでも、しっかりと将来を見据えて、教育には力を入れてもらわないといけないとおもいます。さて、オバマ大統領は、どうでしょうか。

ちなみに、今日の最低気温は、氷点下24℃、日中の最高気温も氷点下19℃までしかあがりませんでした。

2009年1月15日木曜日

自己評価の提出


今日は、昨年一年の活動内容を自己評価し、提出しました。
アメリカでは、大学の教授職に限らず、年に一度、それぞれの職場毎に定められた基準に照らした自己評価を行い提出します。大学の教授の場合、学部長に提出し、学部長の判断で、来年度の年俸が決められます。もちろん、学部長の判断に対して意義があれば申し立てることが出来ます。
年功序列が根強くのこっている日本の職場と違い、だれでも一定の割合で、給料のベースアップが決まると言うことはありません。それと同時に、評価の内容によっては、年俸が前の年よりも下がると言うこともあり得るわけです。ですから、自分が一年間に何をしたか、丹念に記録をしておいて自己評価に入れないと、他の人は自分の仕事を認めてはくれません。不言実行という考えがなかなか理解されにくいのは、このようなシステムのせいでしょうか。

今日は最高気温が氷点下9℃でした。今夜は、氷点下23℃まで下がるという予報です。一月も半ばになると、春が恋しくなります。

2009年1月14日水曜日

シカゴ授業研究グループ

いまの気温は、氷点下18℃(午後10時)空がきれいに晴れ上がっているので星がきれいです。でも、ちょっと外に出る気はしません。
これから、明日にかけてまた雪が降るようです。雪が降るともう少し気温が上がってくれるのですが・・・

今日は、午後5時からシカゴ授業研究グループの会合がありました。毎月1回、シカゴ近辺の先生方が集まって指導案についての議論をしたり、5月に行う授業研究カンファレンスの計画を立てたりしています。今日集まったのは全部で10人、メンバーが選んできたNCTMの雑誌の記事を題材に生徒の反応を予想し、さらにそれをもとにどう練り上げていくか、といったことを話し合いました。次回までに、実践できる人は実践しその結果を持ち寄ることになりました。
アメリカでは、平日、学校が終わってから自主的に集まって授業研究の話しをする、というのはなかなかあることではありません。7年目に入ったこの自主的な勉強会、誰もがいつでも参加できる会をモットーに続けています。

2009年1月13日火曜日

スタッフ・ミーティング

昨年中は、毎週、火曜日の午前中に行っていたAP•MSECのスタッフ・ミーティングを1月から毎週月曜日の午後に行うことにしました。
今回は、本年、第二回目のスタッフ・ミーティングです。
スタッフといっても、私を含めて4人、オフィスにはこのほか2人の院生がそれぞれ週20時間ずつ手伝ってくれていますが、このミーティングには加わりません。
AP•MSECでは、ベースキャンプというインターネット・ツールを使ってそれぞれの仕事の進行具合をお互いに把握しあっています。いつまでに仕上げなければならない仕事か、それを誰と誰がどのように手分けするのか、インターネット上のページで、互いに情報を交換し合い、ファイルを共有し、メールのやりとりも、このサイトを通して行うと、すべての記録がプロジェクトごとに保存されます。また、おのおのが、どの仕事にどれだけ時間を要したか、なども記録することができ、レポートを書くときに重宝します。
このミーティングでは、このオンラインツールの共有を補うための情報交換をします。また、時には、議論をしながら、この先の方向を決めていきます。
いくらインターネットが発達しても、顔を見ながら、ホワイトボードに図を書きながら話し合うと、何かしら違った感覚が生まれるのは不思議なことです。

2009年1月11日日曜日

散歩


金曜日の夜から降り始めた雪は、結局、今日、土曜日の夕方まで降り続き、市内でも10 インチ (約25cm)ほどの積雪がありました。
週末は、足場さえ良ければミシガン湖沿いのジョギングコースを走るようにしていますが、さすがに今日は断念し、散歩をすることにしました。今年は冬が早かったせいもあって、ミシガン湖は、岸から見える範囲はほとんど氷で埋め尽くされ、夏とは全く異なる景色です。
こんな雪の中でも、湖畔の遊歩道をジョギングしている人、スキーを履いて歩いている人、はたまた自転車に乗っている人などにあいました。寒い冬でも、人それぞれ楽しみ方があるようです。

2009年1月10日土曜日

ハイドパーク

昨年秋に次期大統領となったオバマ大統領の自宅は、ご存じのようにシカゴにあります。
大統領選挙期間中からシカゴはオバマ人気で盛り上がり、共和党支持者は少々居心地の悪い思いをしたと思います。
オバマ氏の自宅は、シカゴ市南部のハイドパークにあります。シカゴ大学の構内に隣接する閑静な住宅街で、築100年以上邸宅が並びます。
AP•MSECのトムの自宅もハイドパークにあります。昨日は、金曜日の午後でしたが、夕方遅くまで、2人で学習指導要領解説書の仕上げをしていたので、雪の中、彼を自宅まで送っていくことにしました。
せっかくなのでといって、トムがちょっと遠回りをして、オバマ次期大統領の家の前まで連れて行ってくれました。
今週の日曜日から、オバマ一家は既にワシントンDCに行ったせいか、以前よりも警備が緩くなったそうですが、それでも、家の前の通りはコンクリートのバリケードで完全に封鎖してあり、数台のパトロールカーが監視していました。
次期連邦教育省長官として、ワシントン入りすることになった、現在、シカゴ市の教育長をしているアニー・ダンカン氏の自宅もハイドパークなので、この閑静な住宅街は、昨今、ちょっとした話題となっています。

2009年1月9日金曜日

テニア

朝起きると、細かい雪が降っていました。摂氏氷点下8度、雪は明日の午後まで続くという予報です。

今日は、一日、教授会の予定です。朝9時から、夕方まで、異例の長い会議になりそうです。
内容は、教授への昇進およびテニアを与えるかどうかについての話し合いと投票、つまり人事に関する会議です。
アメリカの大学には、テニアという制度があります。一般には、正規の教授(助教授)として採用されてから一定の期間(多くの場合6年)の実績をもとに、テニアを与えるかどうか審査します。テニアとは、簡単に言うと、自分で退職するというまで立場が保証されるという権利とでもいいましょうか。この審査でテニアが与えられないとなると、教授の立場で大学に居続けることはできなくなります。つまり、ある程度の期間の実績で正式に教授としての職を保証されるか、やめることになるかの決定がなされる会議です。
ここに至るまでには、いくつもの結構面倒な手続きをへなければ、テニアの審査を受けることはできません。
まず、講師としてではなく、テニアを受ける権利のある立場として採用されること、次に、毎年の自己評価を行うこと、さらにDePaulでは、採用から2年目と4年目に他の教授数名からなるコミッティーによる中間審査をパスしなければなりません。そして、6年目のテニアの審査には、決められた書式に従って書類を作成し、さらにそこに書いてある事実を実証する資料を用意し、審査に望みます。
今日は、教育学部の教授全員で、なんと、6人の審査を行います。6年前は、学部の規模拡張から大量に新規の教授を採用した年だったので、このような大人数を審査することになりました。
長い一日になりそうです。

航空運賃の不思議

再来週、日曜日から木曜日まで、ミネソタ州に出張の予定です。
目的は、州の教育省からの補助金を得て行われる、教育委員会主催の教員研修会に招かれワークショップをするためです。
州都ミネアポリスからか、まず車で西に3時間ほどドライブしたところにある町、モンテビデオで一日のワークショップを行います。その日の夕方、モンテビデオから北東に4時間ほどドライブしたステイプルズという町にいき、そこの中学校で行われる研究授業を2つ参観し、さらに次の日に一日ワークショップを行う予定です。
今日は、この旅行のために、シカゴからミネアポリスまでの飛行機のチケットを予約しました。
なんと、往復$550、日本円で5万円以上です。飛行機に乗っている時間は約一時間、一番近い隣町に行くのに、この値段です。12月にサンフランシスコに出張したときは、往復で$250、日本円で 2万円少々だったのに・・・シカゴからサンフランシスコまでは、飛行機で片道4時間半、時差が2時間もあるとこまで行く方が、飛行機で1時間、車でドライブしても8時間くらいで行ける町までの運賃の半分というのはどうも腑に落ちません。
利用者が多ければ高く、空席が多ければ安くなる。実際にかかる燃料費や輸送コストよりも需要があるか無いかの方が値段に影響するのが資本主義なのでしょうが、どうも納得いきません。
ミネソタの出張の様子は、このブログで逐一ご報告しますので、どうぞお楽しみに。

2009年1月8日木曜日

2つのカンファレンスコール

今日は、朝一番に、中東、カタールの文部省担当者と電話で打ち合わせをしました。
カタールでは、学校教育の質の向上を目指して、現在国を挙げて教育改革に取り組んでいるそうです。その一環として、算数・数学の授業研究を始めるために、2月の中旬に一週間のワークショップを行う計画しています。今日は、その第二回目の打ち合わせでした。
40人の先生方を対象に、5日間の日程で授業研究を紹介し、手取り足取り教材研究のプロセスを指導し、最終日には指導案を完成させるという計画です。その後、参加者はそれぞれの学校に戻り、チームとともに実際に研究授業を行う予定です。このワークショップは、シカゴで毎年夏に行っている授業研究サマー・インスティチュートの内容をもとに行うものですが、何せ中東へ行くのは始めたなので、いったいどのような先生方がいるのか楽しみです。

もう一つの、カンファレンスコールは、アメリカ連邦教育局のチームと、6月にシカゴで行うAPEC人材開発ワーキンググループの会議の打ち合わせでした。AP•MSECが会場を準備するこの会議は、APECの19の国と地域から代表が集まる会議で、全体で120人ほどになる規模です。昨年11月の終わりにシカゴでの開催が決定してから、私のオフィスでは、オフィス・マネージャがほとんどかかりきりで準備を始めています。教育学部長をはじめ、大学の協力も得なければならないので、煩雑な手続きに追われています。来週中には、参加各国に、正式な会議の要項を流さなければならないので、今日のカンファレンス・コールはいつもよりも少し長引きました。

2009年1月7日水曜日

学習指導要領解説 算数編の英訳(続)

解説書の英訳プロジェクトは、いよいよ佳境に入っています。
翻訳チームが3ヶ月かかって翻訳した200ページの原稿は、まずAP•MSECのアソシエイト・ディレクターが、フォーマットを整えながら、英語の文章として読んでみて意味がはっきりとわかるか検討します。そこで生じた疑問点を中心に、アメリカの大学で研究する日本語の分かる2人の数学教育学者に一字一句、基の日本語と対比しながらその訳を検討していただき、意見を加えてもらいます。そして、再度、AP•MSECで確認し、訳が完成となります。訳が完成した段階で、書式を整え、APEC Knowledgebankのホームページに公開となります。
いまは、この最後のチェックの段階です。アソシエイト・ディレクターのトムは、今週は朝から晩まで、検討事項を吟味し、仕上げに取りかかっています。

この過程で問題になっているのは、今回の学習指導要領の柱の一つである、反復(スパイラル)という表現です。反復とは、repetitionですが、この言葉と、spiralとはもともとの意味が違いますし、また教育学の用語としてもスパイラルの意味することは単なる反復ではありません。さらに、解説で使われているoverlappingがこれに加わると、英語だけで読んだ読者、たとえそれが教育関係者であっても何を意味しているのがよく分からなくなるおそれがあります。かといって、こちらで勝手に解釈して訳すわけにもいかないので、判断に迷います。
もっとも、この訳が基で日本の数学教育改革がどのような方向に進んでいるのか、興味を持った外国の研究者との間に議論が起こることはよいことなので、そのための資料としてこの英訳が使われることを期待しています。

本来は12月中に完成するはずでしたが、少々遅れています。もう少しお待ちください。

2009年1月6日火曜日

IRB

アメリカの大学や研究機関で人間を対象とした研究する際には、必ずInstitutional Review Boardの審査を経て承認されなければなりません。教育に関する研究も、人間の学びの様子や成長(変化)をその研究の対象とするので、IRBの承認を得ない限り研究に取り組むことはできません。
日本でも、最近、教室で子供たちが学習する様子をビデオに撮ったりする場合には、保護者の承認を得なければならなかったりするようになってきたと聞きますが、アメリカでは、例え、子供たちの発言をメモにとったり、ノートのコピーやテストの解答などを分析してその成果を発表するような研究の場合にも、きちんとIRBに研究の内容を申請し、審査を受け、許可を得なければなりません。
これは、研究という名の下で基本的な人権が損なわれることの無いようにという配慮からなされているものですが、研究を行おうとする場合には、煩雑で時間のかかる過程を経ないと研究が始められないので、なかなかやっかいなものです。
新年、第一日目の仕事(仕事始めでしょうか)は、2年前に申請したIRBの期間延長の書類を書くことでした。研究の概要、ビデオを撮る場合に親に承諾を得るための手紙、そして、研究対象となる先生方一人一人にサインをもらうための手紙等々、一つ一つ全部をそろえ、提出しなければなりません。その上、ビデオを撮る院生、そのビデオを編集したり、トランスクライブしたりするスタッフも、人権問題に関するオンラインのトレーニングをしてもらい、その修了証を添付しないと、IRBの審査さえしてもらえません。
普通の教室での授業をビデオに撮る場合には、これに加えて教育委員会の許可も取らなければならず、手続きはまたまた煩雑です。
地域によっては、警察にこれまでに犯罪を犯した経歴がないという証明をもらわないと学校に出入りさせてもらわないところもあると聞きます。日本も、アメリカ並みに物騒になってきたようですので、そのうち、何もかもがアメリカ並みになるかもしれません。

2009年1月4日日曜日

新学期の準備

DePaul大学の冬学期は、5日月曜日に始まります。
アメリカの大学には、一般に3学期制と4学期制があります。3学期制は、秋学期と春学期それぞれ約16週間ずつ、そして希望者を対象とした夏学期があり、合計3学期となります。4学期制の場合には、秋学期、冬学期、春学期、それぞれ約10週間ずつ、そして希望者には夏学期、となります。
DePaul大学は、4学期制、従って、1月から3月中旬までの10週間が冬学期、1週間の春休みをあけて、3月下旬から6月上旬までの春学期、そのあとは、9月に始まる新学期まで長い夏休みというスケジュールです。

アメリカの多くの大学と同じように、DePaulでは、各講座毎にオンラインのサイトが作られ、教授たちは、そこにシラバス、授業予定など全てをアップロードします。それぞれのコースをとっている学生は、そのサイトに行って、授業の概要を知ることになります。昨今では、なるべく印刷物を減らす動きと相まって、ほとんどの配布物は印刷して学生に配ることをせず、このサイトからPDFファイルをダウンロードする方向に向かっています。もちろん、教科書などもPDF版が普及し始め、学会誌なども、図書館のサイトからダウンロードできるのが一般的です。
したがって、新学期が始まる直前は、教授たちにとって、いままでの古いサイトの内容から新しいコースのサイトに内容をコピーしたり、シラバスをアップロードしたりといった準備が忙しくなります。便利なのは、わざわざ大学に行かなくとも、自宅や旅先からサイトの内容を整理したり、履修する学生の名簿を調べたりできることです。

このようなコースを管理するサイトには、Blackboardや、WebCTといったソフト(サーバー)があります。日本の大学でも、これらの日本語版を使い始めたという話しも聞きます。

私が最初にこのようなツールを使い出した10年前と比べ、その機能や使い勝手も充実し、いまでは大学の授業と切っても切れないものとなっています。

2009年1月2日金曜日

謹賀新年


日本では元日から3日まで、家族で正月を過ごすのが普通ですが、アメリカでは、一般に会社も元日だけが休みで、2日からさっそく仕事が始まります。
元日よりも、むしろ大晦日の夜のカウントダウンが賑やかで、何処のレストランやバーでも特別のメニューが組まれ、年越しのディナーを楽しみます。繁華街は深夜まで人であふれ、A Happy New Year!という声があちこちで聞こえます。

2009年1月1日木曜日

学習指導要領および解説書の英訳から学ぶ

日本の算数・数学教育に対する世界の関心は高い。しかしながら、これまで、日本の教育内容、特に算数・数学について、英語で紹介されることはあまりありませんでした。学習指導要領でさえ、これまで日数教が非公式に訳したものしかなく、文科省は、正式に英語でその内容を公表することはありませんでした。
2008年に発表された学習指導要領およびその解説書については、現在、APEC Knowledgebankのプロジェクトとして、ケネソー大学の渡辺忠信氏、ウィリアム・パターソン大学の吉田誠氏と私が中心となって訳したも算数・数学の学習指導要領がサイトで公開され、無料でダウンロードできるようになっています。
このような動きと並行して、文科省が、いよいよ正式に全教科の学習指導要領を英語で正式に公開する動きがあるようです。
日本の教育も、いよいよ国際化の動きに向けて一歩を踏み出したという感がします。

ところで、これまでの学習指導要領および解説書等の英訳プロジェクトを通して学んだことを、本年の日数教論文発表会でお話しさせていただきました。日本語を英語に訳すときに問題になったことを吟味していくと、単に言語の違いだけではなく、日本と米国(英語圏)との間に算数・数学教育に対する考え方や概念に意外な違いがあるということを紹介しました。
2009年の前半には、渡辺氏、吉田氏と一緒に、このことを少し深め、日本の先生方にご紹介できればと考えています。どのような形になるかはわかりませんが、きっと面白いものになるかと思っています。

新学習指導要領算数・数学の英語訳 (PDF)のダウンロード