2009年1月7日水曜日

学習指導要領解説 算数編の英訳(続)

解説書の英訳プロジェクトは、いよいよ佳境に入っています。
翻訳チームが3ヶ月かかって翻訳した200ページの原稿は、まずAP•MSECのアソシエイト・ディレクターが、フォーマットを整えながら、英語の文章として読んでみて意味がはっきりとわかるか検討します。そこで生じた疑問点を中心に、アメリカの大学で研究する日本語の分かる2人の数学教育学者に一字一句、基の日本語と対比しながらその訳を検討していただき、意見を加えてもらいます。そして、再度、AP•MSECで確認し、訳が完成となります。訳が完成した段階で、書式を整え、APEC Knowledgebankのホームページに公開となります。
いまは、この最後のチェックの段階です。アソシエイト・ディレクターのトムは、今週は朝から晩まで、検討事項を吟味し、仕上げに取りかかっています。

この過程で問題になっているのは、今回の学習指導要領の柱の一つである、反復(スパイラル)という表現です。反復とは、repetitionですが、この言葉と、spiralとはもともとの意味が違いますし、また教育学の用語としてもスパイラルの意味することは単なる反復ではありません。さらに、解説で使われているoverlappingがこれに加わると、英語だけで読んだ読者、たとえそれが教育関係者であっても何を意味しているのがよく分からなくなるおそれがあります。かといって、こちらで勝手に解釈して訳すわけにもいかないので、判断に迷います。
もっとも、この訳が基で日本の数学教育改革がどのような方向に進んでいるのか、興味を持った外国の研究者との間に議論が起こることはよいことなので、そのための資料としてこの英訳が使われることを期待しています。

本来は12月中に完成するはずでしたが、少々遅れています。もう少しお待ちください。

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