2010年4月29日木曜日

シカゴ授業研究カンファレンス 第一日目


今年は、参加者80名と、例年よりも規模の小さい会になりました。
それでも、西海岸、東海岸、そしてカナダからも参会者や講演者が駆けつけてくださり、充実した初日になりました。
Sabin小学校の先生方も、前日11時過ぎまで熱心に準備をし、公開授業を行ってくださいました。
今回は、小学校の内部事情で、公開授業を行うことが最終的に確定したのが2週間前という厳しい状況だったりしたこともあり、授業の内容がもう一つ、物足りないものになったように思いますが、遠くからこられた参会者の方々に、授業研究とはどのようなものかということを体験していただく機会にはなったようです。

2010年4月28日水曜日

シカゴ授業研究カンファレンス

今回で第9回目を迎えたカンファレンスが始まりました。
今年は、新しい試みとして、授業研究初心者のためのプレカンファレンスを行いました。
今日の夕方5時から、授業研究入門と題した1時間のワークショップを行い、その後、カンファレンスの招待講演者と参会者が会食をするという企画です。
参加は、30名ほどでしたが、気さくな雰囲気で授業研究とは何かを紹介する機会になったようです。

2010年4月27日火曜日

82-9


今週木曜日、シカゴ授業研究グループのカンファレンスで行う公開研究授業の事前授業を参観しに、Sabin小学校に行ってきました。
2年生の教室で行われた授業は、82-9を繰り下がりを使って計算できるようにするという授業でした。
指導案検討グループの先生が、他の学級を借りて行った授業でしたが、グループの意図に反して、ほとんどの子供たちが82-9を数え引きで求める方法から先へ進めませんでした。
というのも、それぞれの子供たちの机には、1から100までの数が書かれた数表がおかれてあり、この教室では、普段の算数で、足し算引き算、すべてこの表を使って数えたし数え引きで答えを求めているということが原因だったようです。
日本では考えられないことかもしれませんが、アメリカの教室では大変よく目にする光景です。中学校に行ってもそれぞれの子供の机に、100までの数を並べた数表とかけ算九九表が並んではってあるという光景によく出会います。
さて、木曜日の授業、果たしてどのようになるか、少々不安と期待が入り交じっています。

2010年4月25日日曜日

NCTM 2010 サンディエゴ:ちょっとひと休み



第二日目の夕方、会場脇のヨットハーバーを歩いていると、貸しヨットの看板が出ていました。
ちょうど良い風が吹いていたので、同僚2人と一緒に2時間ばかり湾内でヨットを楽しむことにしました。
サンディエゴはアメリカ有数の軍港です。湾内に停泊した航空母艦や、頻繁に行き交う軍艦の間を縫ってヨットを操るのはなかなかほかでは味わえないものです。3人でそれぞれの発表を終えたひとときを、十二分に堪能しました。

2010年4月24日土曜日

Meta-Forms

NCTM年会の魅力は、教科書、教材はもちろん、電子黒板、オンライン学習ツールなどなどありとあらゆる数学教育に関係するものを展示した展示会です。
経済危機の影響か、規模は例年の半分ほどでしたが、それでもたっぷり半日かけても見切れないほどの展示があり、日本の教育研究大会とはずいぶん異なる印象です。
今年の展示の中で目をひいたのは、Meta-Formsというパズルです。論理的な思考を育てることを目的に以前開発されたパズルを再構成し、小学校低学年から教材として使えるようにしたものだそうです。いま、各地の学校で実際に教室で使った反応を蓄積し、カリキュラムとしてより洗練されたものにしようと考えているそうです。
日本の教室でも、手始めに、教科以外に時間に意図的計画的に使ってみて成果を検証してみるもの面白いかもしれません。

2010年4月23日金曜日

NCTM 2010 サンディエゴ


今年の私の発表は、初日の朝一番、8時からでした。
それでも、シカゴとの時差が2時間あるため、シカゴの時間では朝の10時からと、比較的余裕のあるスタートでした。
朝一番ということで、少々出足は悪かったものの、多くの方々が熱心に話を聞いてくださいました。
この日は、一日広い会場をあちこちと歩き回り、いろいろと刺激をうけました。
また、年に一度、全米はもちろん世界各国から集まる数学教育の専門家と顔を合わせて話ができるのも、この会議の魅力です。
この春、体調を崩されたと伺っていた南イリノイ大学のベッカー教授も、大変お元気に大会に参加されており、相変わらず迫力のあるお話を多くの参会者が熱心に聞いていました。

2010年4月22日木曜日

NCTM 2010 サンディエゴ


午前中、残務を片付けてから空港に向かいました。
昼前の飛行機でO'Hare国際空港を発って4時間の飛行の後、サンディエゴに到着しました。2時間の時差があるため、午後の2時に到着し、ホテルにチェックインしました。
今日から、土曜日まで毎年恒例のNCTMの年会です。
サンディエゴのコンベンションセンターとそれに隣接するホテルの会議場を会場として行われます。ピーク時には2万人を超える参加者のあった年会ですが、このところの予算削減で、今年の参加者は、1万人を少々下回るということです。
ホテルの部屋からの眺めはすばらしく、気持ちも晴れ晴れとします。

2010年4月21日水曜日

CVCA (シカゴ職業高校)での校内研究授業


今年度、第二回目の構内研究授業でした。
この学校はシカゴ市の南部にある学校です。ほとんどが、シカゴ南部の黒人が多くすむ地域から通っている子供たちで、校内で、白人、アジア系の生徒を目にすることはまずありません。
小学校、中学校の学習内容がしっかりと身に付いていない子供たちですが、先生と楽しく数学の授業に参加している様子に、いつも感心させられます。
今回、イリノイ州から交付される補助金では、この学校の先生方と一緒に力を合わせて、生徒の学力向上を目指していきます。

2010年4月20日火曜日

RunKeeper

iPhoneのフリーアップリケーション、RunKeeperを使い始めて半年になります。
電話についているGPSと時計を使って、地図上に歩いたり走ったりした道のりを自動的に表示し、距離と時間から消費カロリーまで計算してくれます。その上、走ったり歩いたりした後に、その記録をインターネット上にアップロードし、きちんと記録を保管しておいてくれます。
これまでの半年で合計50時間、距離にして約226マイル(約420km)を歩いたり走ったりしました。
今日は、大学までの往復を歩きました。片道、朝は26分、帰りは30分でした。やっぱり帰りの方が、のんびりと歩いているのでしょうか。

2010年4月16日金曜日

テニア ガイドラインの改訂

今日の教授会では、ここ1-2年懸案になっているテニア取得のためのガイドラインの改訂に関する話し合いがなされました。
昨年、一昨年と、各学部が教授会の投票により決定したテニアの審査に対して、大学の委員会から異なった意見が出されるなどの問題が学内で大きく取り上げられたことに対して、教育学部として、学部の決定の根拠をより明確に大学の委員会に伝えようと言う意図から始まった議論です。
どのような基準でテニアを認めるか、またそのための手順をどのようにするかということは、どの大学でも常に関心の高い問題です。
特に大学が大きくなり、様々な分野の教授を抱えるようになると、単一の基準ですべての教授の実績を判断するのが難しくなり、話も一筋縄では行かなくなってきます。

高等学校授業研究プロジェクト

イリノイ州高等教育局の補助金による高等学校授業研究プロジェクトの初顔合わせをしました。
第一回目の顔合わせは、このプロジェクトに関わる内部の者だけで、この夏までの日程を詰めていきました。
この後、プロジェクトにかかわる各校の責任者、外部の評価チームの代表などを含めて正式な第一回目の会合を行い。6月の第一週に参加される先生方すべてを含めたミーテリングを行います。

2010年4月14日水曜日

iPad 海外での発売延期

アメリカでのiPadの販売が好調で、予定していた生産が間に合わないようです。
今日、アップルは、iPadの海外での販売開始を、予定より一ヶ月遅らせ、予約の開始を5月10日、発売開始を5月の下旬としたそうです。
コンピュータを使い慣れた人にとっては、もっとネットブックに近いような機能を持たせるべきだという声もあるようですが、一般の消費者向けの便利なステーショナリーのような存在と考えれば、十二分に満足のいくものだと思います。
手書き入力のできるソフトなども充実しつつあり、大変重宝しています。
google doc、Preziなどのクラウド・ソフトを活用すれば、もうノートパソコンを持ち歩く必要は無くなりました。
アメリカ国内だけで、発売一週間で50万台が売れたという人気は十分頷けます。

2010年4月13日火曜日

Chicago Cubs オープニング ゲーム

朝の8時過ぎから近所のバーが満員で、Cubsの青いユニフォームであふれかえっていました。
今日は、シカゴにある大リーグチームの一つ、Chicago Cubsが、今シーズン初めてのホームゲームを行いました。
冬の間静かだった我が家の近所も、この野球シーズンが始まるといっそう賑やかになります。
まだ、屋外でビールを飲むには少々肌寒い陽気ですが、ファンにはあまり関係ないようです。
デーゲームが終わった後も、街はCubsのユニフォームを着た人たちで夜遅くまでにぎわっていました。

2010年4月10日土曜日

シカゴ公立学校の危機:予算、教員数の削減 その後

春休み前に、発表になるはずだった各学校ごとに配分される予算が、まだ市の教育委員会から発表されていないようです。
そのため、各校では来年の教職員の人数が決められないばかりか、この夏に行う予定の補習授業が出来るか出来ないかも決めかねているようです。
いずれも、テニアをもっていない経験の浅い先生方は、来年度の職が確保されるかされないか、冷や冷やの毎日を送っているようです。

2010年4月9日金曜日

シカゴ植物園との新しいプロポーザル

シカゴの北にあるシカゴ植物園は、世界的にもよく知られている大規模な植物園です。
今日は、そのシカゴ植物園の教育担当のデリレクターと、ノースウエスタン大学の環境科学の先生と、新しいプロジェクトについての打ち合わせをしました。
シカゴ植物園が中心となって、アメリカ各地の植物園と共同して行う気候変動をテーマにした教育プログラムを開発するプロジェクトに共同研究者として加わらないかという誘いを受けたのは、約2週間前でした。
具体的には、彼らが進める新しい教材開発に、授業研究の手法を取り入れ実際に教材を使う先生方、子供たちの反応を十分に反映したカリキュラムを作成し、さらに、その教材を使った実践の質を高めるためにも授業研究を活用したいというアイディアです。
そのために、まずNSF(全米科学財団)の気候変動教育のための補助金を申請し2年間のパイロットプロジェクトを経て、さらなる補助金を得て、5年間の本格的な研究に取り組もうという長期間にわたる計画です。
植物園の専門家、環境学者、そして現場の先生方と子供たち、それに授業研究がかかわるという面白い発想です。
全米科学財団への補助金申請の締め切りは5月下旬、夏までの間にしなければならないことが、また一つ増えました。

2010年4月8日木曜日

中高合同教員研修

シカゴ市内の北西部にある学校で行われた中学校と高等学校の先生が合同で、互いの授業を見合うという研修会に呼ばれていきました。
地域の中学校と高等学校の先生が協力して子供たちの学力向上を図ろうという取り組みだということですが、授業を見て正直カッガリしました。
午前集の社会科、午後の数学ともに、先生が一方的に話をし、ごく一部の生徒をのぞいて全く授業の内容についていっていないという授業でした。それでも、先生方は、ごく2-3人の生徒たちが先生の質問に答えて進んでいった授業を見て、大変よい授業であったと満足げでした。70分授業の前半30分にわたる先生の説明の後に渡された練習問題に、半数以上の生徒が一問目からつまずき、授業が終わるまでに与えられた問題のすべてに手を付けることができたのが30人中たったの6人であっても、参観した先生方には “この生徒たちにはこれで精一杯” としかうつっていないようでした。
この研修を企画/運営しているのは民間の財団で、あちらこちらから寄付金を集め、先生方に研修の機会をとがんばっているようですが、これではなかなか授業はよくならないと思いました。
アメリカには、いいカリキュラムや斬新なプログラムがたくさんありますが、なかなかそれが子供たちの学力向上につながらないのは、肝心の先生方が、この子たちには無理、とあきらめてしまっているようなところがあるからなのかもしれません。

2010年4月7日水曜日

春の嵐

昨晩からの激しい雨と雷は今日の午前中まで続きました。
道路のあちらこちらには大きな水たまりが出来ましたが、これも春の始まりかと思うと、凍り付いた歩道よりは良いか、という気になります。
今日は、午前中、学部長と来年度のセンターの運営についての話し合いを行いました。昨年夏から続いている仮のofficeにはコンピュータやビデオ機器が所狭しと並んでおり、スタッフと院生が一つの机を分け合っている情況です。スペースが無いのはどこの大学でも同じ悩みだとは思いますが、最悪の場合には、大学の外にオフィスを借りてでも、もう少し使いやすい様に会議室を備えた場所を確保してもらう約束を取り付けました。
午後からは、今、コンピュータサイエンスの院生に頼んで行っているシカゴ授業研究グループのホームページ・アップデートの打ち合わせです。いままでのホームページから、指導案やビデオのデータベースを備えた授業研究のためのポータルサイトへのアップグレードを考えています。先月末から働き始めてくれた院生は、イラン人の留学生で、とても一生懸命やってくれているのでどんなホームページになるか楽しみです。

2010年4月6日火曜日

Educare of Chicago

シカゴ/ダウンタウンの南にある幼児教育に特化した教育施設 Educare of Chicago に行ってきました。
経済的、家庭的に恵まれない子供たちの就学前教育のために Ounce of Prevention Fundという財団が運営する教育機関です。
ここでは、これまで幼児期の子供たちの言語の発達を促したり、社会性を育てたりすることを重点にプログラムを組み成果を上げてきました。これをもとに、今後、数学の素地となる活動を充実させるために、まずは教師の力量を高めることに主眼をおこうと私たちにコンタクトしてきました。
今日は、午後から1時間半ばかり、私たちがシカゴを中心に行っていることなどを話してきました。
現在は、高等学校を中心に行っている授業研究ですが、今後、幼児教育の分野にも広がりが出てくるかもしれません。

2010年4月4日日曜日

iPadが関数グラフ電卓に


今日、予約しておいたiPadが届きました。
なんと、中国の深圳から香港を経由し、航空便でアメリカ国内の注文先に、一台ずつ届けられたようです。シカゴには、4月3日土曜日の発売日にあわせ、UPSの配達日指定で届きました。もう、中国から貨物船でまとめてアメリカに送り、そこで荷分けをしてそれぞれに宅配するなどという時間のかかることはしないようです。
大型のシステム手帳をうんと薄くした感じで、なかなか使い勝手がいいようです。カレンダーやメールソフトもiPhoneより格段に使いやすく、クラウドに直結したノートパッドやシステム手帳といった感じの使い勝手なようです。
さっそく、iPhoneで使ってみた無料のグラフ電卓ソフトを入れてみると、きちんとカラーで複雑なグラフが表示されます。
アメリカの中学校、高等学校で盛んに使われているグラフ電卓は、もう必要なくなるでしょう。小さな白黒画面と小さくて複雑なキーを操作するよりも、ずっと簡単できれいです。
今年は、この新しいデバイスを活用した、いくつかのプロジェクトを計画しています。
ここ数年で、数学の授業もうんとかわることになると思います。

2010年4月3日土曜日

5年で寿命?

今週、2005年から使っていたコンピュータの電源が突然入らなくなりました。
ダウンタウンにあるApple Storeで見てもらったところ、どうも電源ユニットだけではなく、場合によってはロジックボードにも影響が出ているかもしれないと脅かされ、仕方なく新しいコンピュータにすることにしました。
つい先日、ハードドライブを替えメモリーを追加したばかりなので、今回のコンピュータでも、引き続きこのハードドライブも使うことにしました。
最近のMacは常にシステム全体のバックアップをとるようになっているので、コンピュータを更新しても、すぐその日から、これまでと同様に仕事を続けられるので助かります。
それにしても、高いお金を出すのですから、コンピュータの寿命も、もう少し長くなってくれるといいのですがー

2010年4月1日木曜日

NCTM Year Book 2010

ケネソー州立大学の渡辺さんのリードで書いた、日本の算数教科書で使われている線分図、比例数直線を中心とした論文が、NCTMから出版となりました。
英訳した算数教科書の内容を示しながら、系統的な指導のあり方について論じたものです。ちょうど、Common Core Standardで、線分図や数直線の扱いが強調されているので、とてもいいタイミングだと思います。
より多くの方に、読んでいただければ、日本の系統だった算数指導の具体的な姿が見えてくると思って期待しています。
http://www.nctm.org/catalog/product.aspx?id=13591

イリノイ州高等教育局の補助金

暮れから準備を始め、すったもんだの果てに提出した補助金のプロポーザルでしたが、今日、正式に、イリノイ州から補助金交付の決定の連絡がきました。
3年間のプログラムですが、第一年目として約300,000ドル、日本円にして3000万円弱が交付されます。第二年目以降は、一年目の成果をみながら金額が決定されることになります。なんとか、2年目3年目も州の財政が持てばいいのですが
このプロジェクトでは、シカゴ市内の高等学校で授業研究を行い、3年間で、生徒たちの学力向上を図るというものです。
この夏から、さっそくプロジェクトが始まるので、忙しくなります。