2009年4月27日月曜日

がっかり、アメリカ版シンガポール教科書


数学教育の国際調査(TIMSS)で常に世界一のシンガポールの算数・数学教育が、ここ数年アメリカをはじめ世界から注目されています。
なかでもシンガポールの算数教科書は、アメリカの多くの学校区で使われ、ここ数年、じわじわと人気を高めてきました。
この流れの中で、アメリカの大手教科書出版社が、シンガポールの教科書出版社と手を組んで、アメリカ版のシンガポール算数教科書を販売開始しました。今回の展示会では、このシンガポール教科書が、アメリカ大手出版社のブースで発表されました。

この教科書を早速手にとってみたところ、そのあまりの変容に、正直がっかり愕然としました。
日本の教科書ほどではないにしろ、薄くコンパクトでありながら、しっかりとしたできだったシンガポールの教科書が、見るも無惨に、分厚い、無用な内容の多い、アメリカの教科書に姿を変えてしまっていました。これでは、シンガポールの教科書とは名ばかりで、単にアメリカの巨大教科書会社が、シンガポールの教科書というブランドを買い取ったのと大して変わりない結果になったようです。
ブースのセールスは、「外見はアメリカの教科書だが、中身はシンガポールの教科書をさらに先生方に使いやすく丁寧にしたものだ」と説明していましたが、教材の配列や単元構成、概念の導入の仕方など、ざっと見ただけでもお粗末さが目立つ内容でした。

アメリカでは、日本の教科書も注目されていますが、このような無惨なことにならないようにと、改めて思い知らされました。

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