2009年5月14日木曜日

カンファレンス第一日目の授業



カンファレンス初日の授業、平方根を導入する授業を振り返ってみます。
アメリカでは、一般に、負の数、平方根などは、日本よりも早い時期に導入しています。
この平方根を挿入する授業は、全米科学財団の補助金によるプロジェクトで開発された教科書の一つ、Connected Mathematics (CMP) を基に考えられた指導案でした。
CMPでは、まずジオボードに様々な正方形を作らせ、その正方形の面積を、ジオボードの方眼の数から見いだし、この面積から逆に、正方形の求積公式をもとに一辺の長さを求める活動を通して、平方根を導入します。
例えば、ジオボードの上に面積が8平方ユニットの正方形を作ります。(この正方形は、ジオボードの外枠に対して45°傾いた位置になります)この正方形の面積は、ジオボード上の正方形をうまく数えると簡単に求められますが、この辺の長さは小数で表すことは出来ません。
つまり(一辺の長さ)×(一辺の長さ)=8 になるような一辺の長さをどう表現するかという課題が生じるわけです。
CMPでは、このような場面を利用して、平方根は、このような数を表すときに使います。という形で導入するわけです。
具体物を使った活動を通して、平方根の必要な場面を設定し、子供たちに導入するという考え方は、活動中心で理にかなっているように見えますが、なかなか現実はそうはいかないというのが、一般の先生方の考えな様です。
トムの授業は、この指導の問題点をうまく浮き彫りにしました。具体的には、生徒が、面積の概念(単位面積のいくつ分)と求積公式の関係を十分に理解していないと、この活動は彼らにとってちんぷんかんぷんになると言うことです。授業の中では、子供たちがこのジレンマをうまく表現してくれました。
研究授業を通して、一見おもしろく、うまくいきそうな授業も、生徒の既習事項の習得の度合いによって、かえって混乱の原因になる可能性を秘めていることを教えてくれました。

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